ボードゲームと知育
「ボードゲームをやると、頭が良くなるんでしょ?」
「子供と一緒にボードゲームを遊んでいる」という話をすると、必ず知育とボードゲームを結びつける方がいらっしゃいます。
結論から言うと、「人と接するための能力が磨かれることが多い」です。
・ルールを聞いて(または説明書を読んで)理解する
・他のプレイヤーに、自分が知っているルールを説明する
・周囲の状況に目を配りながらプレイする
・遊んでくれる(た)相手に、挨拶・お礼を言う
・もっと上手にプレイしようとする向上心が芽生える
・負けて悔しくても、それを自分の中で消化できるようになる
ざっと思いつくだけでも、このくらいの「効用」を挙げられます。
しかし大事なのは、親も一緒にゲームを楽しむことだと思います。
私の子供が通っていた幼稚園の園長先生が、面白いことをおっしゃっていました。
「子供はまず、憧れている人のマネをするの。例えば、戦隊モノが好きな男の子はヒーローごっこ。アイドルが好きな女の子は歌手になりきり、お母さんが好きな子供は、お掃除や料理ごっこをする」
なるほどな、と思いました。
子供にとっては、自分の大好きな人がお手本で、そうなりたいというところから世界が広がっていく。
自分自身を振り返っても、確かにそうだった実感があります。
親が本当にボードゲームを面白いと思っていて、子供と楽しむ分にはまったく問題ないのですが、「早期教育」「知育」を第一の目的としてボードゲームを「買い与える」のは、子供にとって「習い事」と同じです。
そこには、「頭を良くしてやろう」という親の「下心」が透けて見える。
そして、子供はそれを間違いなく見抜きます。
親が「ボードゲームって何?よくわからないけど、今流行ってるし、頭を使うから賢くなりそうだし。」と子供をゲーム会に連れてきて、自分はプレイせずに子供だけゲームに参加させる。
これでは、きっと子供の興味は長続きしません。
ボードゲームは、TVゲームと違って生身の人間が、テーブルを囲んですぐ側にいます。
ゲームの面白さが、テーブルを一緒に囲んでくれたメンバーに依存する率がかなり高い。
これは、同じ卓になった他人に「この子を面白がらせて下さい(そしてあわよくば頭を良くして下さい)」と丸投げするのと同じです。
「子供ボードゲームイベント」などで、参加料をとってプレイ→ゲーム会の後に、実際遊んだゲームを販売するという「プロのゲーム関係者」が商売でやっている場合は別ですが、一般のゲーム好きが公民館を借りて、自己所有のゲームを開放して遊んでいるような場合は、ぜひ親御さんも一緒にゲームに参加してみてほしいです。
親御さんがゲームを心から楽しいと思うなら、子供さんも自然にゲーム好きになり、沢山の人と交流する中で、きっとコミュニケーション能力が高まっていくはず・・・です。