夫婦でボードゲーム

夫婦でボードゲーム

ボードゲームにハマった夫に付き合ううち、嫁が積極的にボドゲ購入するように。ボドゲ初心者から、ようやく中級者になってきた日常を、2人で遊んで楽しいボードゲームを中心にまったり綴ります。(時々、映画・ドラマの感想など)

重版出来!

2016年4月期にTBS系でドラマ化された重版出来!を今さらながら見ています!
リアルタイムでTV放送されていた時は、特に気にもとめていなかったこのドラマ。
放送終了してから「面白かった!」という感想をそこここで聞き、「見れば良かったかな…」と後悔していました。

時間がたち、後悔も薄れたころ、同じTBS火曜10時枠のドラマ逃げるは恥だが役に立つを見てドはまり。

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原作マンガのエピソードを取捨選択、ドラマに最適化して、演じる俳優さんの魅力を最大限に発揮させる鮮やかな脚本に驚きました。
脚本家は…野木亜紀子さん!!

あれ?この名前どこかで…。
「あー!『重版出来!』の脚本家の人だ~!」
やっぱり『重版』見れば良かった…と再度、後悔しているときに、ちょうどテレ朝チャンネル1で一挙放送があると知り、録画!!
今、毎日1話ずつ見ています。

重版出来!』は「月刊スピリッツ」に連載中の、松田奈緒子さんのマンガが原作。

●2014年日経新聞「仕事マンガランキング」で1位
●2017年1月「小学館漫画賞」(一般向け部門)受賞

と、「これ、絶対おもしろいでしょ」!!

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野木さんの脚本は、逃げ恥の時にも思ったのですが、
「原作をきちんとリスペクトしている。愛情を持って、各エピソードで原作者が描きたかった本質を見抜き、それをドラマ(映像)でいかに視聴者に伝えるかを吟味し尽している」。
いわゆる原作レイプを言われる、タイトルだけ原作の名前を借りているけれど、中身は似ても似つかない、改変されまくった作品とは一線を画しています。

エピソードの順番や、セリフが挟み込まれるタイミングは原作と異なる場合があるものの、それは全10回のドラマの大きな流れの中で、どこで登場するのが最も効果的か計算して、前後させているのがわかる。

『重版』は、漫画家、編集者、その家族、書店販売員…とたくさんの登場人物がいるので、全10回の間でそれぞれの人物を掘り下げる時間は限られている。
それでもどの人物が、どういうキャラクターなのかきちんとわかる。

俳優さんが、「その役を演じるならこの人!」と誰もが思う人が当てられている。
小道具や衣装も、「このキャラクターはこういう人だよね!」というのが一目でわかる。

配役ありきで、人気アイドルを使ったドラマとは真逆です。

主人公・黒沢心を演じる黒木華さんがかわいいダブルハート
黒木さんは派手さはないけど、純朴で正直で、一本気な心のキャラクターをストレートに表現していて、めちゃくちゃ好感度高いです!
(黒木さんは、本当に良い役者さんだと思います。腹黒い役はきっと不快なくらいに腹黒く演じるだろうな…という底の知れないポテンシャルを感じます。)

心というキャラクターは、「良い子」で、優等生すぎて面白くないと思われがちなキャラクターとして第1回に登場します。
ここで、「常に正しいことをする心」に反発して見るのをやめる視聴者もいたのでは?と感じました。

しかし、2話目からですよ!!
2話の中心キャラクターは営業部の小泉。
小泉は、本来は情報誌の編集を希望していたのに、意に反して営業部に配属になり、仕事にやる気を感じられずにいます。
ここにきて、心の「あまりにも正しいキャラクター」の意味がわかるのですグッド

新入社員の頃、キラキラした目で「今日から私も社会人だ!早く仕事を覚えて、一人前になるぞ!」とやる気に燃えていた「あの頃の自分」を心に見せられて、
「社会はそんなに単純じゃないんだよ!」
「理不尽や、意に沿わない仕事もお金を稼ぐために仕方なくやらなきゃいけないんだよ!」
「理想と現実じゃ違うんだ」
とシニカルに構えていた視聴者の多くは、心ではなく、小泉に感情移入するでしょう。

やるまえから拗ねて卑屈になっている…否、卑屈になることすら止めて、ただの空気になっている小泉を批判するでもなく、ただ心は「常に全力投球の自分を見せる」。
それは小泉に「見せつける」ためではなく、自然に、ありのままに、仕事に真摯に取り組みたいという自然な行動。

理不尽な現実は変わらない。
例えば、ブラックな仕事場なら、それは逃げる(そこから離れる)しか解決の方法はないと思う。
でも、「自分が希望していた部署とは違う」。
新入社員が「希望していた部署」って、そもそもその部署が具体的にどんな仕事をしているか知っていて希望したのか?
カッコいいから?その雑誌の読者だったから?
「そこで自分は何をしたいのか?何ができるのか?」その明確なビジョンがないうちは、実は何をやったってうまくいかない。

「今いる場所」で必要とされていること、「今ここで」自分ができることを見せられないなら、「希望する部署」でも大して役には立てない。
課題の探究と、解決法の提示。どんな仕事でも、自分で動いて自分で見つけるしかない。

心は、まだ自分には漫画家と対等に渡り合うスキルがないことを自覚して、自分に「今できること」をすぐみつけています。
元気にあいさつする。荷物を運ぶ。電話取りをする。
雑用かもしれないけれど、会社では絶対誰かがやらなければいけない仕事。
やりたいことをやらせてもらえないなら、できることをやるしかない。
できることを全力でやっている姿を、必ず見ている人がいる。

ひとつできることが増えれば、次の仕事を任せてもらえる。
それができれば、次の仕事…最初はそうやって、スキルを自分の中に貯めるしかない。
いつかそれを活かせる日がくる。
「いつか」とは「いつか?」
そんなことを考えるのは、スキルが貯まって、もうこれ以上貯めるべきものはないと思えた時で良いんだと思います。

立ち止まっていたらずっとそこにいるしかないけれど、とりあえず進めば、今いる場所より先に向かっていける。
立ち止まりがちな自分を反省すると同時に、心に「あの頃のキラキラした目の自分」を思い出させてもらえる…もう一度、初心に帰って頑張ろう!と思える良作ですきらきら

 

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