アナと雪の女王⑥
オラフのキャラでまず「?」と思うのは「夏に憧れる雪だるま」であるところ。
クリストフが言ってましたが「暑かったら溶けることを教えてやらなきゃ・・・」と誰もが思うところ。
オラフはお笑い要素担当だから、「おかしな」要素を入れたのか?
・・・そういう側面もあると思いますが、やっぱりオラフはアナとエルサ姉妹の間をつなぐ絆が具現
化されたキャラクターなので、ここは「自己犠牲」と「真実の愛」をわかりやすく表すために、「夏に憧れる」設定になっているのだと思います。
夏に憧れる=憧れが現実になった瞬間、オラフは溶けて無くなるということ。
それでも、オラフは自分が溶ける運命にあることを知っていて、アナを助けます。
(アナの心が凍り付いて、凍死しそうになったとき、暖炉に火をつけるのはもちろん、アナの望みが叶ってアレンデールが夏を取り戻せば、否応無くオラフは溶けてしまう)
「真実の愛は、自分より誰かを大切に思うことだ」とオラフは言います。
オラフ自身の行動が、有限実行で、すべてはアナとエルサ姉妹のため。
オラフは、デザインはハッキリ言ってかわいくないですが
コミカルな言動の中に、しっかりとこの映画の主題である「真実の愛」を一貫して主張しているところが、たまらなくかわいい。
ちょっと話はズレますが、この映画を見て「あれ?」と思ったことがあります。
それは、トナカイのスヴェンがなぜしゃべらないのかということ。
雪だるまがしゃべるなら、スヴェンがしゃべってもよさそうなものです。
オラフは魔法の力で生み出されたものだから、「特別」で人語を話すけれど、スヴェンはただのトナカイだから、しゃべるのはムリってこと
映画のストーリーをスッキリさせて、エルサの心理描写をもっと丁寧に描く時間を捻出するなら、オラフというキャラクターを無くして、スヴェンを人語を話すトナカイにする(トロルの魔法で話せるようになる等、やり方はいくらでもあるし)の方が良い気もするし、今までのディズニーならそうしていたような気もする。
スヴェンはクリストフの一番の友人として登場します。
クリストフ曰く、「自分には友達がたくさんいる」とのことですが、その中身はトナカイとトロルです。
映画冒頭に出てきた山男たちは、友達ではなく、単に同業者でしかない様子。
「ただのトナカイ」であるスヴェンの言葉を代弁してみたり、石ころにしか見えないトロルに親しげに話しかけたり、ちょっとクリストフがアブナイ人に見えてしまう描写があるのはなぜか?
・・・クリストフもアナと同じ、寂しさを理解する人間でなければならなかったからだと思います。
映画では詳しい描写はなかったものの、クリストフには両親がいないようです。
幼い頃から、スヴェンと支えあって、厳しい山で生きてきた。
もしクリストフに人間の友達がたくさんいて、明るく楽しい生活を謳歌していたら、アナはクリストフに惹かれなかったと思う。
クリストフはハンスと鏡写しのキャラクターで、孤独で辛い境遇は共通している。
ただ、その孤独の中にどう自分の居場所を見つけるか、その方法が異なっていることで、人物像が分かれているのだと思います。
スヴェンがクリストフともっと密にコミュニケーションが取れる「人語を話す」キャラクターだったとしたら、クリストフの孤独は薄まってしまう。
それに加えて、自己犠牲と真実の愛をわかりやすく観客に提示するために、キャラクターをひとつ作ろう=オラフ誕生だったのかな?と見ながら想像しました。